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地図情報
Vol.45 No.3 No.175 昭和100年の地図
〔表紙解説〕
 車窓展望鐵道新旅行圖 附 満洲國・中華民國鐵道圖(約85%縮小)
269×25.5cm、昭和16(1941)年-4月、出版:日本統制地図株式会社、地図情報センター蔵
 昭和初期といえば太平洋戦争(大東亜戦争)が最大の事件であることは疑いがない。この地図は開戦となった昭和16年12月の約半年前、4月20日に発行された。著作者の森田義春は、神田区今川小路(現神田神保町3丁目)にあった「九段書房」の社長で、戦「(新)日本地図(株)」を立ち上げている。
 本図は約2メートル半に及ぶ蛇腹折りで、樺太から台湾、朝鮮、満州、中国の路線と駅名が記載されている。また、車窓展望の名のごとく、図の上下には車窓から見える山や川などが描かれているのが楽しい。裏にはリスト形式だが、全国名所、神社仏閣、温泉、国立公園から土産物一覧などが沿線別に記載されている。戦時統制色が強まる中、「旅行」地図が発行できたギリギリのタイミングであっただろう。表紙には流線型の蒸気機関車、C55型のイラストを配している。流線型の車両は1930年代の世界的な流行で、日本や当時日本の支配下だった南満州鉄道(満鉄)でも採用された。
 日本統制地図(株)は、1940(昭和15)年11月に多数の地図会社を統合して発足した民間の統制会社だが、検閲事務を取次ぎ、「統図登録番号」を各出版社に発給した。本図も表紙に「認」の検印(印刷)がある。その地図の内容によって、発行不許可は(無)、次回発行時訂正するものは(検)、そのまま発行してよいものは(認)の許可書がでたという。
(編集部)
目次(表紙クリックでサンプル表示)

■巻頭随筆
・地形図を最初に買った頃
■特集 昭和100年の地図
・民間地図の100年
・教科書の地図帳
・緑地からみた東京の都市計画図の百年
・地理教育における地形図読図の昭和100年
・コ社会科における掛図と地球儀の活用
■地図楽
・地図と私 地図と歩む
・鉄道古地図めぐり⑫「東京中心鐵道地圖」より最新東京電車案内
■文献紹介
・旧版地形図類の基礎的研究
・主題図のはじまり
・昭和100年地図帳
・大人のための離島探訪−島の不思議を凸凹地図で体感!−
■資料室
・2025年6月号〜8月号
■お知らせ
・(一財)地図情報センターからのお知らせ
■付録
・2026年カレンダー
付録:2026年カレンダー