〔表紙解説〕
車窓展望鐵道新旅行圖 附 満洲國・中華民國鐵道圖(約85%縮小)
車窓展望鐵道新旅行圖 附 満洲國・中華民國鐵道圖(約85%縮小)
269×25.5cm、昭和16(1941)年-4月、出版:日本統制地図株式会社、地図情報センター蔵
昭和初期といえば太平洋戦争(大東亜戦争)が最大の事件であることは疑いがない。この地図は開戦となった昭和16年12月の約半年前、4月20日に発行された。著作者の森田義春は、神田区今川小路(現神田神保町3丁目)にあった「九段書房」の社長で、戦「(新)日本地図(株)」を立ち上げている。
本図は約2メートル半に及ぶ蛇腹折りで、樺太から台湾、朝鮮、満州、中国の路線と駅名が記載されている。また、車窓展望の名のごとく、図の上下には車窓から見える山や川などが描かれているのが楽しい。裏にはリスト形式だが、全国名所、神社仏閣、温泉、国立公園から土産物一覧などが沿線別に記載されている。戦時統制色が強まる中、「旅行」地図が発行できたギリギリのタイミングであっただろう。表紙には流線型の蒸気機関車、C55型のイラストを配している。流線型の車両は1930年代の世界的な流行で、日本や当時日本の支配下だった南満州鉄道(満鉄)でも採用された。
日本統制地図(株)は、1940(昭和15)年11月に多数の地図会社を統合して発足した民間の統制会社だが、検閲事務を取次ぎ、「統図登録番号」を各出版社に発給した。本図も表紙に「認」の検印(印刷)がある。その地図の内容によって、発行不許可は(無)、次回発行時訂正するものは(検)、そのまま発行してよいものは(認)の許可書がでたという。
(編集部)
昭和初期といえば太平洋戦争(大東亜戦争)が最大の事件であることは疑いがない。この地図は開戦となった昭和16年12月の約半年前、4月20日に発行された。著作者の森田義春は、神田区今川小路(現神田神保町3丁目)にあった「九段書房」の社長で、戦「(新)日本地図(株)」を立ち上げている。
本図は約2メートル半に及ぶ蛇腹折りで、樺太から台湾、朝鮮、満州、中国の路線と駅名が記載されている。また、車窓展望の名のごとく、図の上下には車窓から見える山や川などが描かれているのが楽しい。裏にはリスト形式だが、全国名所、神社仏閣、温泉、国立公園から土産物一覧などが沿線別に記載されている。戦時統制色が強まる中、「旅行」地図が発行できたギリギリのタイミングであっただろう。表紙には流線型の蒸気機関車、C55型のイラストを配している。流線型の車両は1930年代の世界的な流行で、日本や当時日本の支配下だった南満州鉄道(満鉄)でも採用された。
日本統制地図(株)は、1940(昭和15)年11月に多数の地図会社を統合して発足した民間の統制会社だが、検閲事務を取次ぎ、「統図登録番号」を各出版社に発給した。本図も表紙に「認」の検印(印刷)がある。その地図の内容によって、発行不許可は(無)、次回発行時訂正するものは(検)、そのまま発行してよいものは(認)の許可書がでたという。
(編集部)
