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地図情報
Vol.44 No.2 No.170 琵琶湖−環境とくらし
〔付録解説〕
 「近江國」(国立公文書館デジタルアーカイブ、原図サイズ:東西337cm×南北511cm。)
 江戸幕府の命で、諸国の大名に命じて作らせた旧国ごとの絵図「国絵図」とデータ集「郷帳」が慶長・正保・元禄・天保の4回、全国規模で作成され、このうち天保国絵図は天保9(1838)年に完成した。
 天保国絵図は、元禄国絵図の写しを短冊形に切り、その後変化した部分に紙を貼って修正した図が幕府に提出されたもの。
 縮率・描法等は元禄図と合わせ、1里を6寸(約20cm)とする縮尺(約21,600分の1)で、山、川、道路等が描かれ、街道を挟む形で描かれている黒丸は一里塚である。郡別に色分けされた楕円形の枠内には村名と石高が、白四角で示された城下町には地名と城主の名前が記されている。
 陸地測量部が新たな地図作成のために、国絵図を模写したこともあり、明治維新後も実務に活用されていた。国立公文書館には、天保国絵図全国分83鋪(重複を含めると119枚)、縮小図等12鋪が保存されている。元禄国絵図及び松前島から琉球まで国ごとに各村の石高を記した「天保郷帳」85冊等とともに昭和58(1983)年、国の重要文化財に指定された。
 琵琶湖の湖上には、京都と北国・東国をむすぶ水上交通路として、今津・大津・堅田・彦根等の間の里程が記録されている。
(解説参考:国立公文書館デジタルアーカイブ、行橋市デジタルアーカイブ、保存科学2021、編集部)
目次(表紙クリックでサンプル表示)

■巻頭随筆
・琵琶湖のもつ多様な価値
■特集琵琶湖ー環境とくらし
・琵琶湖における水運の展開
・琵琶湖の伝統的生業としての漁撈とその変化
・近江の中近世城郭の分布−暮らしの拠点としての視点から−
・琵琶湖の流域管理と環境保全
・琵琶湖の生い立ちと湖岸の変遷
・[column]琵琶湖周航の歌と地名
■地図楽
・鉄道古地図めぐり⑧ 大津電車線路圖
■文献紹介
・地理学の思考
・SDGs時代の地理教育
・街道アトラス
■資料室
・2024年3月号〜2024年5月号
■お知らせ
・(一財)地図情報センターからのお知らせ
■付録
・近江國
付録:近江國