地図情報 AiN ICICニュース 一般向き商品          


〔目次〕
■巻頭随筆「南の島々への憧憬」の深層を考える
■特集 遠くて近い南太平洋の国々
・遠くて近い国、ミクロネシア連邦
・南洋群島サイパン島および旧米領グアム島の日本軍作成地図について
・南洋庁での気象観測の歴史
・現代社会を生き抜くしたたかな海洋民たち マーシャル諸島の人々の過去・現在・未来
・卒業生なきパラオ中学校−パラオでの日々
・太平洋諸国の地図切手から
■地図楽
・読図のヒント? 二十万分の一帝国図は「えんざんしょく」
・紙の地形図をじっくり眺めてみよう 第10回 鉄道に纏わる“蘊蓄”を地図上で検証してみる
・古地図を旅するZ 対外危機と世界地図(高橋景保「新訂万国全図」1810年)
■文献紹介
・新々・日本列島地図の旅
・世界の「富士山」
・ワイドアトラス・世界地図帳/日本地図帳
・デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖
■資料室 2012年6月〜8月
■巡検・見学会・セミナー 夏のセミナー「海図教室と海洋情報部見学」に参加して
・(一財)地図情報センターからのお知らせ
■付録『大東亞南方圏地圖帖』藤田元春著(日本統制地圖株式会社 昭和19年4月発行)
   のうち「第十二圖太平洋諸島圖」
地図情報 Vol.32 No.3 通巻123号
〔表紙・裏表紙解説〕
■「大東亞戰下の西南太平洋精圖」
 本図は昭和19(1944)年6月10日、朝日新聞東京本社により編輯・発行された「西南太平洋精圖」の一部分である。
 明治期以来、諸新聞は多くの地図類を作り、付録として配布、普及させてきた。新聞記事との関わりが大切だが、一方購読促進や頒布地域の拡大の兼ね合いなどもあり、都市図、府県図、日本全図、鉄道地図なども見られた。日清・日露の戦役時には関連地域の地図が多くなっている。第2次大戦頃からは、本図のような独立した刊行物として販売されたものも見られるようになる。
 本図は第2次大戦(大東亜戦争)後期のアジア南部の地図であり、各地(島嶼)は所属国の色彩で示されている。この地図ではフィリピンは共和国(実際の独立は1946年)として表現されており、日本占領後の姿であり、グアム島も「(大宮島)」として占領後の名称で示されている。ある一瞬を示した地図である。
 なお、この地図の縮尺は1,500万分の1、ランベルト氏赤道等積投影法(ランベルト正積図法の一種)とある。地図のタイトルの下側に「認」の證紙が貼られ(そのまま印刷されている)、日本統制地圖株式会社検印と記され、押印されている登録番号は3032である。 〔付録解説〕

■『大東亞南方圏地圖帖』藤田元春著(日本統制地圖株式会社 昭和19年4月発行)のうち「第十二圖太平洋諸島圖」
 今回の特集との関わりから、上記地図帳の見開き2頁分を付録にした。
 太平洋の島々、とくにミクロネシア(経度180度以西、赤道以北の太平洋の地域)は、わが国と関わりが深かったにもかかわらず、第2次大戦後のある時期、学校教育で「地理」「日本史」の履修が禁止された影響を受け、馴染みが薄くなってしまった。
 本地図帳の著者藤田元春博士は歴史地理学、政治地理学の泰斗として知られ、ちょうど旧制大阪高等学校停年の時にあたり、思いを込めて著した地図帳である。製図者の木崎盛政氏は、戦前・戦後を通して多くの地図製作技術者を育成した、現代風にいうと人間国宝的な存在の人である。この時期、地図作製は国家の方針により、表向きは自主的な動きとして、地図業者は日本統制地圖株式会社に統合され、さらにこの後、内務省情報局の命令で防諜的な意味合いを深め統合化が進んでいった。日本統制地圖株式会社では全ての地図をチェックし、検印として「認」の證紙を与え、登録番号を与えていた。本図は.339である。
 本図では島々の形態・名称が往時求められた最良の資料に拠っており、その後の変化(本誌中の記述も含め)と比較してみると興味深いものがある。
(清水靖夫 (一財)地図情報センター理事)

〔付録〕
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