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地図情報
Vol.39 No.3 No.151「スマホと地図」
〔表紙・裏表紙解説〕
 「ビッグデータとSNSを使った「災害時帰宅支援地図」試案」
 2005年、(株)昭文社から「災害時帰宅支援マップ首都圏版」が発売され大ベストセラーとなった。それから6年、2011年の東日本大震災では、帰宅困難者が多数発生することとなった。
 アップル“iPhone”の国内発売は2008年7月、“Android”は2009年7月からで、震災時にスマホは29.3%の普及率(総務省)だった。これが2017年には75.1%(同)と携帯電話を含めたモバイル端末全体で94.8%(同)に達している。
 また、2005年にはGoogleマップが日本でサービスを開始し、スマホアプリも2009年に公開された。さまざまなウェブ地図サービスで、震災の2日後には被災地の航空写真や通行実蹟マップを提供するなど、インフラとしての地位を固めていった。
 誰もがモバイル端末を持つ時代の「帰宅支援地図」はどうあるべきだろうか。現在はソーシャルネットワーク(SNS)やビッグデータの活用時代である。AI(人工知能)の利用も活発だ。そこで、近未来の「帰宅支援地図」を考えてみた。
 AIとナビゲーション技術により、帰宅ルートを表示する。そこにはサバイバルに必要なコンビニ、トイレ、給水拠点そして充電サイトも表示したい。ビッグデータによる混雑状況のリアルタイム表示(図中ピンク)も加える。電力スマートメーターにより停電発生の提供(図中グレー)ができるかも知れない。火災などの障害情報を加え、帰宅最適解をリルートする。SNSなどによるリアル情報提供も大切だ。他の地図サービスや天候情報などとともに、安全な動的帰宅支援サービスが可能となる。 2019年9月、台風15号による長時間停電はモバイルインフラでの問題点を示した。停電はスマホだけではなく基地局の機能も奪い、IP電話も含め緊急電話も不通になった。5G時代には基地局間隔も狭くなるため、停電対策が一層重要になる。
 低照度下で発信できる太陽電池ビーコンや、1日1時間利用で1週間バッテリーが持つスマホなどが出現している。いかなる時でも使えるスマホインフラはいつでも使える地図サービスと合わせ命を守ることにつながる。(編集部) 
地図はオープンストリートマップ中野坂上付近を元に作成しました。図中のコンビニや給水所を含めた位置・情報は全て架空のものです。
目 次

■巻頭随筆
・地図情報と空間認識
■特集 スマホと地図
・スマホで地図と向き合う社会を生きる
・アナログ作業で百名山にトライ! 等高線マーキングでオリジナルマップを識
・古地図アプリの先駆け『東京時層地図』
・スマホと地図の最新事情と今後の展望
・「スマホネイティブ」世代の考えるスマホと地図
■地図楽
・読図のヒントⅩⅩⅩⅧ 東京西部近郊図
・私の巡検旅日記③ プリトヴィツェと九寨溝・黄龍
■文献紹介
・スマホとPCで見る はじめてのGIS
・「地図感覚」から都市を読み解く
・鎖国時代 海を渡った日本図
・地図帳の深読み
■資料室
・2019年6月号〜2019年8月号
■お知らせ
・(一財)地図情報センターからのお知らせ
■付録
・江戸切絵図 増補改正「千駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷繪圖」
付録:江戸切絵図 増補改正「千駄ヶ谷鮫ヶ橋四ッ谷繪圖」カレンダー