地図情報 Vol.28 No.2 通巻106号 「湾の地図」
〔裏表紙解説〕マーケーサス諸島 タフアタ島(Resolution Bay)の対景図 この対景図は1883年刊行の英国海図(原図は仏国の測量)をもとに日本水路部が大正14(1925)年2月に刊行した海図第2057号「マーケーサス(マルキーズ)諸島」に描かれている。マーケーサス諸島は南太平洋のフランス領ポリネシアに属し、タヒチ島の北東約1,500kmに位置し10余個の火山島からなる。 タフアタ島は南緯10度、西経139度付近に位置し、対景図は同島の西岸中央部にある島で唯一の錨地、レゾルーション湾の沖合から描かれたものである。 航海者にとって初めて通過する沿岸や海峡および多島海域は海図に記載の島、山、岬、著目標等がどれかを見分けるのに相当苦労する。対景図は航海者が一目でそれら地形、地物を見分けられるように任意のポイントから目で見た特徴を距離感、高度をやや誇張して立体的に分かり易く描いたものである。 この対景図は湾奥にあるわずかな平地にバイタフの街の建物や家屋が散在し、その背後に屏風のような険しい絶壁の岩山が迫り、その両側には火山島特有の奇峰が海岸に没して埼を形成している様子が望まれる。海岸にヤシの木も生え、土地のカヌーも描かれていて面白い。海図から、西に約0.5海里開く錨地の水深は20m前後、底質は細砂、島には450人居住(1880年)とある。 (今井健三 地図情報センター評議員) ■ 巻頭随筆 湾の地図に思う ■ 特集 湾の地図 鹿児島湾−地形とその由来− 富山湾 石森繁樹 9 駿河湾の海底地形と海の地図 東京湾の海上交通 海図が示す松島湾の沈水過程 新装開店の「ウオッちず」と航海用海図で湾入を巡る ■ 文献紹介 『GISと空間認知−進化する地図の科学−』 『地図を楽しもう』 『ため池−その多面的機能と活用−』 『現代世界を斬る! ジャーナリスティックな地図』 ■ 資料室 2008年4月 受贈図書・資料 (財)地図情報センターからのお知らせ 裏表紙解説 |