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地図情報 Vol.27 No.2 通巻102号 「用水と地図」

〔表紙解説〕
 江戸水道配水図(部分)正徳5(1715)年頃
 (千川家文書・練馬区指定文化財、練馬区郷土資料室蔵)
 江戸に住む人々の生命線、上水道について分かりやすく描かれた地図である。多摩川からの取水と玉川上水からの分水の様子を図解的に描いた地図で、同系あるいは原図からの写図が幾つかあるようである。本図はその東半分(南が上方)にあたる。本図の面白いところは、上水の供給源ごとに色彩が変えられていることで、江戸城を含め、その南方(上方)の灰青色が玉川上水、江戸城東側(左方)や北側(下方)の赤色は神田上水、神田川北側(下方)の濃灰色は千川上水(境で玉川上水から分水)から供給されていることが分かる。玉川上水系には北沢で分水された三田用水(右上)の水や、四谷で分水された青山用水の水も一部含まれている。
 水路の先端(末端)には大名家の屋敷名や寺社名が書き込まれ上水が供給されていたことが示され、図中の黄色は江戸城はじめ幕府関連の施設や著名寺社で、これも上水との関連で見ると興味深い。
 明治16年測量の参謀本部測量局の五千分一東京図には、本図起源の上水路(水樋)が市中の道路下に破線で描かれており、明治前期の上水道分布が分かる。尚、本図の全景は、谷口智雅氏の論文の図1(22頁)を参照されたい。
(地図情報センター評議員 清水靖夫)

〔裏表紙解説〕
 台湾・嘉南大■図(大■=大農業用水)※本文■はシュウ(つちへんに川)
 この図は、(財)全国建設研修センター企画・発行の小学生高学年向き「土木の絵本シリーズ」の第5巻『海をわたり夢をかなえた土木技術者たち』に紹介された台湾嘉南の農業用水路の地図である。この事業は台中の南から台南におよぶ10万haの不毛の荒地・嘉南平原を、大正9年から昭和5年までの10年の歳月をかけて、日本人技師の八田與一(1886〜1942)が豊かな美田とした一大プロジェクトであった。当時世界でも例のない壮大できめの細かい土木事業として、アメリカ土木学会でも賞賛され、とくに「八田ダム」と命名され世界に紹介された。
 図右下の貯水池は水量の多い曽文渓本流からトンネルで水を引いた烏山頭ダムである。太いブルーの濁幹線、北幹線、南幹線水路から多くの給水路がくまなく張り巡らされ、その延長は16,000kmの水路と4,000の設備構造物からなり、愛知用水の10倍、地球赤道の半周におよぶ用水路である。
 現在なお八田與一は60万人の嘉南平原の農民から「嘉南大■の父」「飲水思源」(水を飲むたびに井戸を掘った人のことを思い感謝する)として慕われている。平成19年7月12日、農業近代化と水利事業に尽くし「心の架け橋」をつくった功績で、台湾の陳水扁総統から遺族に褒章が贈られた。
(地図情報センター理事 久田龍二)


特集○用水と地図

巻頭随筆
 用水とその影響

特集 用水と地図
 香川用水と地図
 滋賀・大津側からみた琵琶湖疏水
 辰巳用水とダム計画−地域の歴史と伝統−
 愛知用水・豊川用水・明治用水
 玉川上水−都市化と水利用の変遷−
 安積疏水

文献紹介
 『地図に訊け!』
 『地名を歩く 奄美・沖縄の人・神・自然』
 『「地圖」が語る日本の歴史』

受贈図書・資料

資料室 2007年3月〜5月
表紙・裏表紙解説
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